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恋ばか

第29章 ~好きになっちゃいけない人~


「そういえばこの間さ…」

「まじか。」

その後は、くだらない話をして時間をつぶした。

「そろそろ出るか。」

「そうだね。」

会計を済ませ、店の外に出る。

「じゃあ、また明日。」

「おう。 どうやって帰るんだ?」

ユイの質問に、しばらく考えてから答えた。

「寄りたいところがあるから、そこに行ってから車で帰るよ。」

「そうか。 じゃあまたな。」

本当は寄りたいところなんかない。

少し…一人で、空さんのことを考えたかった。

「ふぅ…」

ユイと別れ、あてもなく歩き始める。

「あ…ここ…」

しばらく歩くと、亮さんと初めてデートした時に来た公園に着いた。

(懐かしいな…)

あの時は、亮さんのことが好きで仕方なかった。

「本気になるな…か。」

もう一年経った。

亮さんのことは好きだ。
ただ、この「好き」は一年前のものとは違う。

兄ちゃんの恋人として…友人としての好き。

「もう…終わりにした方がいいんだよね…?」

そう呟くが、誰からも返事はない。

「…………か?」

「…うん。」

話し声が聞こえ、そちらに目をやる。

(ここはあんまり人が来ない公園なのに…)

「ぁ…空さん…」

発見したのは、さっきも見かけた二人だった。

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