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恋ばか

第29章 ~好きになっちゃいけない人~


「なにそれ?」

「さあ?」

不思議に思いながら封を切る。

「……っ…!!」

「これ…」

『桜木春架様

話があるので放課後、第一資料室まで来てください

木原留季』

しばらく頭が働かなかった。

「第一資料室って、滅多に人入らないよな?」

「うん。」

話ってなんだろう。

「小泉先輩のことかな?」

「………」

無視するわけにもいかないよね…

「行く?」

「…うん。」

ロッカーを閉じ、カバンを手に取る。

「俺も行くよ。」

「いいの?」

驚いて聞き返せば、「当たり前だろ。」と言って、ユイは笑った。

「さっさと行こうぜ。」

「うん。」

ユイと一緒に資料室に向かう。

(空さんと約束してるのに…)

そう思うと、自然と足が速くなった。

「着いた…」

そんなに遠くないと思ってたのに、地味に遠かったな。

「ユイはここで待ってて。」

「え、でも…」

振り返ってそう告げれば、ユイは不満そうに口を開いた。

「大丈夫。 たぶん、空さんのことだろうし…これは、俺の問題だから。」

「…了解。」

俺の言葉に、ユイは不満げに頷いた。

「気をつけろよ?」

「うん。 なにかあったら呼ぶよ。」

ユイにそう言い、資料室に足を踏み入れる。

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