
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「邪魔なんだよね。 僕、本気で彼が欲しいんだ。」
「………」
やっぱり、空さんを狙ってたのか。
「どうしても手を引かないって言うなら別に構わないよ。 ただ…」
「…?」
でも、俺にはもう関係ない。
「君の大事な親友が傷つくかもね。」
だって…
「ユイは関係ないだろ!?」
「だから?」
今日でこの関係は終わりなんだから…
「僕は空君が手に入れば、なんでもいいんだよ。」
「っ…」
ユイだけは…傷つけたくない。
「…わかりました。 でも、今日一日だけ待って下さい。」
「いいよ。」
「失礼します。」そう言って、資料室を出た。
「終わった?」
「うん。」
ユイと合流し、並んで歩き始める。
「話ってなんだったんだ?」
「ん? えっと…」
ユイになら、話してもいいよね?
「空さんから手を引けって。」
「…やっぱり、小泉先輩狙いだったか。」
ユイの言葉に頷き、話を続ける。
「今日で全部終わるのに…」
「………」
乾いた声で笑うと、ユイはなにか考え込んだ。
