
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「ごめッ…なっ…」
謝罪の言葉を繰り返しながら、俺は泣き続けた。
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「おはよー、春架。」
「…はよ。」
屋上で大泣きしてから早二週間…
「顔色悪いけど、大丈夫か?」
「ん…」
相変わらず、眠れない日が続いていた。
「本当に大丈夫かよ。 フラついてんぞ。」
フラフラするというか、ぼーっとする感じ。
「んー…確かに、ちょっとやばいかも。」
苦笑しながらそう告げると、ユイは深くため息をついた。
「保健室行ってこいよ。 担任には言っとくから。」
「ん~…ありがと。」
ユイにお礼を言ってから、おぼつかない足取りで保健室に向かう。
(うわ…結構やばいかも。)
できるだけ壁に沿うようにして歩く。
「あっ…」
保健室に行くには、高校一年生の教室の前を通らなければならない。
「春架…君?」
廊下で親しい人に会った。
「亮さん…」
兄の恋人だ。
「久しぶりだね。」
「お久しぶりです。」
亮さんを前にすると、自然と笑顔になる。
「空に会いに来たんだったら、今はいないよ?」
「ぁ、違います。」
亮さんからの思わぬ言葉を、慌てて否定する。
「保健室に行く途中なんですよ。」
「保健室…?」
俺の顔を覗き込みながら、亮さんは首を傾げた。
「顔色悪いね…一緒に行ってあげようか?」
「え!? だ、大丈夫ですよ!!」
その言葉に驚いて、少し声を大きくして返事をすれば、亮さんは面白そうに笑った。
