
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「ありがと、ユイ。」
今度会った時ちゃんと言わないとな。
そう思いながら目を閉じた。
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「おはよー、春架。」
「おはよー。」
次の日。
ユイは昨日言っていた通り、朝会いに来てくれた。
「………」
「なんだよ?」
部屋に入ってくるなり無言のユイにそう尋ねる。
「いや、顔色良くなったなぁ…と。」
「そうか?」
まぁ、昨日より体は軽くなったけど…
「あぁ。 まだ少し悪いけど、昨日よりはまし。」
「ふ~ん…全然わかんないや。」
などと他愛もない会話をしているうちに、ユイが学校に行く時間になった。
「じゃあ、また明日な。」
「うん。 ありがと。」
ユイが帰ると、急に部屋が静寂に包まれた。
「うーん…」
暇になると、睡魔が襲ってくる。
「そういえば…」
意識を失う直前に、亮さんの声と一緒に空さんの声が聞こえたな。
「…気のせい…かな…?」
空さんが俺のことを、呼ぶはずがない。
「空さ…会いた…」
叶うことがない願いを呟きながら、俺は眠りの世界に堕ちた。
