
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「う゛っ…ぐ…ッ…」
「はは、いい眺め。」
のどの奥まで突かれ、胃の中のものを吐き出したい衝動に駆られる。
「おい、ちゃんと撮れてるか?」
「あぁ。 ばっちり。」
その言葉を聞き、ビデオを撮られているのを思い出した。
(最悪っ…)
なんとかしないと。
そう思うが、逃げたとしてもあのビデオがあるし、ビデオを奪って逃げるなんて、左腕を骨折している状態では不可能だ。
「ちっ…全然勃たねぇ。」
「お前が下手なんじゃねぇの?」
当たり前だ。
こんなに気持ち悪くて勃つわけがない。
「んなわけねぇだろ。」
「じゃあさ…」
男が発した言葉に、俺は凍りついた。
「挿れれば勃つんじゃね?」
その言葉に、男たちは怪しく笑った。
「そうだな。 慣らしてないけど平気か?」
「そのうち慣れるだろ。」
男の一人が、足の間に割って入ってきた。
「ん゛ん゛!!!」
「い゛っ!!」
焦り、嫌悪、恐怖…
なんだかわからない感情が体を巡り、口の中に入っていた男のモノを噛んでしまった。
「なにすんだよっ!!」
「…っ!!!」
それに怒った男が、思いっきり殴ってきた。
「…ッ……!!」
何度も何度も、男は俺を殴りつけた。
「おいおい、もうやめとけって。」
「はぁ…はぁっ…」
他の男に止められ、男は俺を殴る手を止めた。
「まぁ、おかげでおとなしくなったけど。」
意識が朦朧とする。
「じゃ、ヤるか。」
秘部に、男のモノが当てられた。
(もう…だめだ…)
「春架っ━…!!」
諦めかけたその時、病室の扉が勢いよく開いた。
