
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「「っ!?」」
扉を開いたその人物は…
「…そ…ら……さん…?」
ここにはいないはずの人だった。
「なんで…?」
涙で視界がはっきりしないが、それは確かに空さんだった。
「春架からその汚ねぇ手離せ!!」
「あ? なんだこいつ。」
二人の男が俺から離れ、空さんに向き直った。
「その手、離せよ。」
「あぁ? ぶっ飛ばされたいのか?」
空さんは松葉杖をついている。
いくらけんかが強い空さんでも、足が一本使えなかったら…
「やってみるか?」
「いい度胸じゃねぇか。」
敵うはずがない。
「おい、こっちはこっちでヤっちまうぞ。」
「っ!!」
空さんに気を取られていたら、足に割り込んでいた男が動き出した。
「いやっ!!」
「っ…春架!!」
精一杯の力で男に抵抗する。
「暴れんなって。」
「おい、お前の相手は…」
男の一人が空さんに手をかけた。
「こっちだぜ!!」
「っ…ぅ゛…!!」
空さんの腹部に、男の拳が入った。
「空さん!!」
空さんが床に崩れ落ちる。
「はっ。 口ほどにもねぇな。」
「…ッ…」
慌てて駆け寄ろうとするが、男の一人に押え込まれてしまった。
「動くなよ。 入らねぇだろ。」
「っ!!」
再び、男のモノが当てがわれる。
「春架っ!!」
「バンッ」と大きな音がして、また病室の扉が開いた。
