
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「俺のこと…」
だから…ごめんなさい。
「空さんに…守ってもらいたくないですっ!!」
「………」
空さんはしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと起き上ると口を開いた。
「わかった。」
「…ッ…」
ごめんなさい…ごめんなさいっ…
「空君っ!?」
「お前…なんで…」
気まずい雰囲気が流れる中、木原先輩が部屋に入ってきた。
「大丈夫!?」
「…平気だよ。」
木原先輩の問いに、空さんはぶっきらぼうにそう答えた。
「春架っ!!」
「…境兄ちゃん!!?」
二人のやり取りを見ていると、境兄ちゃんがものすごい勢いで部屋に入ってきた。
「大丈夫か? 怖かっただろ?」
「…ッ…境…兄ちゃっ…」
境兄ちゃんに迷わず抱きつく。
「よく頑張ったな。」
「ぅ…ッ…」
後から一臣さんが入ってきて、男の一人を掴みあげた。
「春架君に手を出すなんて、いい度胸してますね?」
(怖っ…)
尋常じゃないくらい、一臣さんが怖い。
「…俺ら…はっ…頼まれた…だけだ…ッ…」
「言い訳は後で聞きますよ。」
一臣さんがそう言うと同時に、ユイが警察を連れて戻ってきた。
「こいつら、連れて行ってください。」
ユイがそう言うと、警官が何人も入ってきて、男たちを連れて行った。
「…ッ…ユイっ…」
「ぅおっ!!?」
ユイが無事なことを確認し、一気に安心感がこみあげてきて、ユイに思いっきり抱きついた。
「どうしたんだよ?」
「…っ…」
声には出せないくらい、安堵した。
「………なんで…」
「……?」
ユイの声が急に低くなった。
