
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「春架…」
俺の目線に合わせるように、ユイはしゃがみこんだ。
「大丈夫だよ。」
「…ユイっ…」
優しく微笑んだユイに抱きついた。
「俺っ…どうしよ…ッ…」
「大丈夫。 俺が守ってやるから。」
ユイの優しい言葉に、俺は涙を流し続けた。
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「春架ー、飯食おうぜ。」
「…ユイ。」
あの日から二か月…
傷も完治し、平凡な学校生活を送っていた。
「うん、食べよ。」
「真依も一緒でいいか?」
照れ臭そうに、ユイが笑う。
「もちろん。 っていうか、俺が居てもいいの?」
真依ちゃんの教室に向かいながら、そう尋ねる。
「当たり前だろ?」
俺の質問に、ユイは優しく微笑んだ。
「おーい、真依!!」
「あ、コウ!!」
教室で真依ちゃんを呼ぶと、可愛らしい女の子が走ってきた。
「飯食おうぜ。」
「うん!!」
真依ちゃんも加え、三人で屋上に向かう。
「いい天気だね。」
「そうだな。」
そんな会話を聞きながら、定位置に座る。
「春架君、最近どう?」
「うーん…」
真依ちゃんの質問に、しばらく考えこむ。
「だいぶましになってきたよ。」
「そっか…よかった。」
俺の答えを聞いて、真依ちゃんはふんわりと笑った。
