
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「心配してくれてありがと。」
「えっ…そんな…///」
お礼を言うと、真依ちゃんは真っ赤になってうつむいた。
「なんで赤くなってんだよ。」
「だって…春架君に言われたら、誰だって赤くなるよ。」
少しムッとした表情で、ユイは割り込んできた。
「ほかの男の言葉で赤くなるなよ。」
「え?」
弁当を置いて、ユイは真依ちゃんに顔を近づけた。
「俺の前でだけにしとけ。」
「…っ///」
もう…これはなんというか…
「…バカップル…」
「あ゛?」
誰にも聞こえないように小さい声で呟いたのに、ユイには聞こえたようだ。
「春架…お前今なんて言った?」
「なにも。」
ユイの視線を無視して空を眺めていると、声をかけられた。
「こんにちは。」
「あ…」
振り返ると、そこには大好きな人が立っていた。
「亮さん!!」
「久しぶり。」
その横には、境兄ちゃんの姿もあった。
「あ、境兄ちゃん。」
「なんだよ、そのテンションの差。」
ぶつぶつと文句を言いながら、境兄ちゃんたちは腰を降ろした。
「今日はどうしたんですか?」
「春架君が気になってさ。」
弁当を食べながら、亮さんはそう言った。
「すみません、心配かけてしまって…」
「いいよ。 それより、どう?」
真依ちゃんに聞かれた時と同じように答える。
「だいぶましになりました。」
「具体的には?」
最近のことを考える。
「日常生活に支障がないくらいには。 軽く肩をたたかれるのとか…」
俺の答えを聞いて、亮さんは安心したように微笑んだ。
