
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「そう。 よかった。」
「留架がすごい心配してたぞ。」
話を聞いていた境兄ちゃんが口を挟んできた。
「兄ちゃんが?」
「あぁ。 昨日、めっちゃ聞かれた。」
境兄ちゃんにも電話したのか…
「兄ちゃん、俺にも聞いてきたよ。」
「なんで俺にも聞くんだろ?」
昨日のことを思い出したのか、境兄ちゃんは深くため息をついた。
「あ、俺にも手紙きたぞ。」
「ほんと?」
兄ちゃん…ユイにまで…
「…なんでみんな留架と連絡取ってんの?」
「「ぁ…」」
辺りが静寂に包まれる。
「もしかして、俺だけ連絡取ってなかった?」
「うん。」
亮さんの気持ちを考えず、境兄ちゃんは即答した。
「なんだよ、今気づいたのか?」
「…うん。」
みるみる落ち込んでいく亮さん。
「気づくの遅。」
「………」
「ちょ、境兄ちゃん!!」
さすがに見ていられず、境兄ちゃんを止めに入る。
「兄ちゃんだって、ちゃんと理由があるんだから。」
「理由…?」
「ぁ…」
勢い余って、口を滑らせてしまった。
「理由ってなに?」
「えーっと…」
返答に困っていると、校内放送が流れた。
『会長~、仕事サボってないで戻ってきてくださ~い。』
屋上内に笑いがこだます。
「亮さん…仕事サボってこっちに来たんですか?」
「…うん。」
そう尋ねると、亮さんは素直に頷いた。
「また仕事サボって!! 俺の心配する前に、自分の仕事やって下さいよ!!」
「いや、だって…」
言い訳しようとする亮さんに、さらに説教する。
