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恋ばか

第29章 ~好きになっちゃいけない人~

「だってじゃないです!! 亮さんが仕事しないと、俺とか境兄ちゃんに仕事が回ってくるんですよ!?

もっと会長の自覚を持って下さい!!」

中三が高一を説教するという異常な光景。

「会長はお飾りじゃないんですから!!」

「……すみませんでした。」

それを、周りのみんなは笑って見ている。

「……まぁ、でも…」

「…?」

亮さんは不思議そうに顔を上げた。

「心配してくれて、ありがとうございます。」

「春架君…」

笑ってお礼を言えば、亮さんは嬉しそうに笑った。

「そういえば、理由ってなん…」

「じゃあ、仕事してきて下さい。」

亮さんを立たせ、ドアに追いやる。

「え゛っ…そん…」

「可愛い義弟の頼み、聞いてくれないんですか?」

少し上目遣いで亮さんを見上げる。

「っ…いや…そんなことは…」

「よかった。 じゃ、頑張って下さいね。」

にっこりと笑みを浮かべ、亮さんを送り出す。

「ちょ、待っ…」

「頼りにしてますね。 お義兄さん。」

そう声をかけると、亮さんは照れ臭そうに笑った。

「わかったよ。 また今度ね。」

「はい。」

ドアを閉め、ため息をつく。

「すげーな、春架。」

「え?」

子の声に顔を上げると、境兄ちゃんが感心したように拍手していた。

「あいつ、俺が言っても動かねぇのに。」

そう言って、境兄ちゃんは困ったように唸った。

「いつものことじゃん。」

「まぁな。 いつ見てもすげーよ。」

確かに、亮さんを動かすのは少々難しい。

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