
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「…んでっ…」
「春架?」
なんで、関係のない人にまで手を出すんだ?
「…くそっ…」
どうすればいい?
どうすればみんなを…
「おい、桜木。」
「な、なに?」
クラスメイトに肩をたたかれて驚いたが、なんとか返事を返す。
「これ。」
「っ!!」
差し出されたのは、昨日と同じ手紙。
「どうしたの、これ?」
「机の中に入ってた。 メモと一緒に。」
お礼を言って、封を切る。
「………」
「春架?」
中には、写真が二枚入っていた。
「…っ」
そこに写っていたのは、両手両足を縛られ、いいだけ殴られた境兄ちゃんだった。
(境兄ちゃんっ…)
もう一枚の写真には、同じように縛られ、怯えきっている真依ちゃんが写っていた。
(っ…なんで…ッ…)
なぜ、この二人がこんな目に遭わなければならないのだろう?
「春架、どうした?」
俺がいなければ…
「………」
開けた時には気づかなかったが、中にメモが入っていた。
『これ以上大切な人を失いたくなかったら、体育館倉庫においで。』
メモを読み、椅子から立ち上がった。
「ちょっと、用事できた。」
「は!?」
ユイにそう言い、教室から飛び出す。
