
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「おい、春架っ…!!」
自分を呼び止める声を無視し、体育館倉庫へ向かった。
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「はぁっ…はぁ…ッ…」
「やぁ、よく来たね。」
体育館倉庫に着くと、木原先輩が中で待っていた。
「…んで…」
「ん?」
木原先輩の顔を見た途端、怒りがこみ上げてきた。
「なんで、関係ない人たちにまで手を出すんですか!!?」
「……そんなの…」
次の言葉を聞き、背筋が凍りついた。
「君を苦しめたいからだよ。」
「っ!!?」
木原先輩が合図すると、この間とは違う男たちが奥から出てきた。
「境兄ちゃんっ!! 真依ちゃん!!」
境兄ちゃんと、真依ちゃんを連れて。
「…ッ…春…架っ…」
「春架君…」
俺の反応を見て、木原先輩は面白そうに笑った。
「この二人にこれ以上なにもされたくなかったら、おとなしくしててね?」
「………」
男たちが二人から離れ、俺の方に近づいてる。
「は…るかっ…逃げろ…ッ…」
「ごめん、境兄ちゃん。」
境兄ちゃんと目を合わせる。
「それはできないよ。」
「ッ…お…前っ…」
今度は真依ちゃんの方に目を向ける。
「怖い思いさせてごめんね、真依ちゃん。」
「春架君…」
真依ちゃんの目を見て、微笑んだ。
「すぐ終わるから、もう少し待ってて?」
「春架君っ!!」
男たちが目の前まできた。
「…っ…」
覚悟を決めて目をつむる。
