
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「ユイ…俺っ…」
「なにも言うな。 今度、聞いてやるから。」
出て行く前に声をかければ、ユイは優しく微笑んだ。
「…お前、いい加減にしろよ?」
「かはっ…」
その声に振り返ると、空さんが木原先輩を締め上げていた。
「俺を本気で怒らせたらどうなるか、わかってるな?」
「…ッ…」
苦しそうな木原先輩…見ていられなかった。
「空さん、やめて下さい!!」
空さんに抱きつき、必死に止める。
「春架、でもこいつは…」
「俺は大丈夫ですからっ…」
より強く抱きつくと、空さんは木原先輩から手を離した。
「はっ…げほッ…っ…」
「………失せろ。 二度と近づくな。」
呼吸を整え、木原先輩は倉庫から出て行った。
「…ごめんなさい…」
最後に、そう謝って…
「……あの…」
「ん?」
重い沈黙を破ったのは俺だった。
「なんでここにいるんですか?」
「…小原が教えてくれた。」
亮さんが…?
「いいんですか? 木原先輩を追い返しちゃって。」
「え?」
だって空さんは…
「だって…木原先輩を助けに来たんでしょ?」
「は? なんで俺が木原を…」
さっきから、俺の言葉に「?」を浮かべる空さん。
「付き合ってるんじゃないんですか?」
「はぁ!!?」
空さんは、なぜか俺の言葉に驚いた。
「なんで俺が木原と付き合わないをいけないんだよ?」
「え?」
頭が混乱してきた。
「はぁ…なにを勘違いしたのか知らねぇけど、とりあえず…」
「ぅわっ…」
腕を引かれ、空さんに抱きしめられた。
