恋ばか
第31章 ~おまけ~
「俺が聞けることじゃないよな…」
あの時、俺と空さんは付き合ってたわけではない。
「………」
だから、空さんが誰を抱こうと、空さんの自由だ。
でも、それでも…
「春架?」
「ぅわっ!!?」
名前を呼ばれ、驚いて声を上げてしまった。
「そんなに驚くなよ。 気づかなかったのか?」
「ぅ…はい…」
考えに没頭していて、気づかなかった。
「大丈夫か? ぼーっとして。」
「…大丈夫です。」
空さんは湯船に入ってくると、俺を後ろから抱きしめてきた。
「春架…」
「ん…」
振り返れば、唇が重なった。
「んぅ…はっ…」
空さんの手が、タオルの中に入ってきた。
「ちょ、空さ…こんなところで…ッ…」
「我慢できない。」
そのセリフを、木原先輩にも言ったんですか?
「あっ…ん…ッ…」
「早く、お前が欲しい。」
俺以外の人に…先輩にそう言って求めたんですか?
「ゃっ…いやっ!!」
「っ!!」
そう思ったら、体が勝手に動いていた。
「春架?」
「ぁっ…」
俺、なにやって…
「…っ…」
「春架!!」
湯船から上がると、俺は風呂場から逃げ出した。
「俺…」
最低だ。 空さんを突き飛ばすなんて…
「…っ……」
嫌だった。
空さんが、俺以外の人にああ言ったと思ったら…
「っくしゅ…」
寒い。
濡れたまま、タオル一枚でいるのが悪い。
「着替えよ…」
体を拭き、用意してあった服を着る。