恋ばか
第33章 ~貴方だけを愛してます~
「臣が上半身裸の男子生徒を押し倒してた。」
「カズが?」
亮は驚いて目を丸くした。
「あぁ。 頭が真っ白になって…気が付いたら保健室を飛び出して、一人で車に乗り込んでた。」
頭からついて離れないあの光景。
「俺と待ち合わせしてた場所であんなことしてたんだから、なにか理由があるんだろうけど…」
怖くて聞けない。
もし、臣が俺を裏切ったとしたら…
「木原にはめられたのかもしれない。 臣があんなことするわけないって、頭ではわかってるんだけどな…」
頭ではわかってるんだ。
でも…
「どうしても…嫌な方向にしか考えがいかない。 臣を見ると、辛くて仕方なくなる。」
体が臣を拒絶する。
「ちゃんと話をしないといけないって、わかってる。 わかってるんだ…」
「境…」
顔を伏せた俺を見て、亮は優しく微笑んだ。
「大丈夫。 カズは、誰よりも境のことを想ってるよ。 春架君の件も終わったことだし、ゆっくりでいいから仲直りすれば? 今はまだ難しいかもしれないけど、時間が経てば落ち着くだろうし。」
「………」
なんか、今更って感じだけど…
「留架がお前に惚れた理由、分かった気がする。」
「ん?」
俺の言葉に、亮は得意気に笑った。
「だからって、俺に惚れるなよ?」
「誰が惚れるか、アホ。」
そんなやり取りをしていると、部屋に誰か入ってきた。
「境兄ちゃん!!?」
「春架…」
春架は俺の姿を見るなり、俺に抱きついてきた。
「境兄ちゃんっ!!」
「い゛っ!!」
その衝撃で体に激痛が走ったが、春架が可愛くてそれさえも許してしまう。