
恋ばか
第33章 ~貴方だけを愛してます~
「あ、境兄ちゃん。」
「ん?」
部屋を出て行く直前、春架がメモを差し出してきた。
「これ、後で読んで。」
「? あぁ、分かった。」
春架からメモを受け取り、亮に支えてもらいながら車椅子に座ると、診察室へ向かった。
「まずはレントゲンからですね。」
「はい。」
先生の指示に従い、診察が始まった。
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「…はい。 以上ですべて終了です。」
「ふぅ…」
やっと終わったか。
「お疲れ様でした。 診察結果は明日には出ますので、また伺います。」
「はい。 ありがとうございます。」
まさか検査に二時間もかかるなんて、予想してなかったな。
「じゃあ、部屋に戻るか。」
「あぁ。」
亮に車椅子を押してもらい、部屋に戻ってきた。
「そういえば、さっき春架君が渡してきたメモってなんだったの?」
「あ…」
そういえば…さっきメモもらったな。
「ちょっと待て。」
もらったメモには、短い文と番号が。
『兄ちゃんがテレビ電話してほしいって。 いつでもいいからこの番号に電話して。』
留架が…?
「なんだった?」
「……別に。」
亮には言わない方がいいよな?
亮だけ留架と連絡取ってないわけだし…
「? そう?」
「あぁ…」
俺がベッドに横になるのを手伝うと、亮は帰り支度を始めた。
