
恋ばか
第33章 ~貴方だけを愛してます~
「おはようございます、五十嵐様。」
「おはようございます。」
翌朝…きっかり7時30分に、看護師さんが朝食を運んできた。
「どうも。」
臣のことが気になって食欲があまりわかなかったが、とりあえず胃の中に食べ物を放り込んだ。
「あの、部屋から出ても大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。 お一人で大丈夫ですか?」
看護師さんの言葉に頷き、無理矢理朝食を食べ終えた。
「失礼します。」
部屋に一人になると、臣に会いに行こうと思い、ベッドから立ち上がる。
「いっつ…」
体の節々に痛みが走るが、歩けないほどではない。
「受け付けは…」
そのことを確認し、壁伝いに病院の受付を目指す。
「ここか…」
受け付前のソファに目を走らせるが、臣の姿は見当たらない。
「おかしいな…」
空の話だと、もうこの時間にはいるはずなんだけど…
「五十嵐様!!」
「……小山先生。」
名前を呼ばれて振り返ると、小山先生がこちらに走って来ているのが見えた。
「そんな傷を負って一人で歩くなんて、なに考えてるんですか!!」
「す、すいません…」
咄嗟に謝れば、小山先生はため息をついた。
「どうしましたか? 誰かお探しですか?」
「ええ…ちょっと…」
言葉を濁せば、小山先生の口から予想していなかった言葉が出てきた。
「黒澤様ですか?」
「え?」
なんで臣のことだってわかったんだ?
「違いますか?」
「え…あ、そうです。」
質問を重ねられて、正直に答えてしまった。
「黒澤様でしたら、先ほど見かけました。 行きましょうか。」
「あ、あの…」
小山先生は俺の手を取り、体を支えてくれた。
