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恋ばか

第33章 ~貴方だけを愛してます~


「…臣っ!!?」

もう少しで臣の所に着くところで、臣が急に倒れた。

「おい、臣!!!」

体が痛むことなんて気にせず、臣の元へ駆け寄る。

「臣!! 臣!!」

「黒澤様!!」

それを見た先生が、急いで駆け付けてきた。

「早くタンカ持ってきて!!」

「臣!!」

臣がタンカに乗せられ、運ばれて行く。

「五十嵐様はご自分のお部屋に戻られていて下さい。」

「でもっ…」

ついて行こうとしたら、看護師さんに止められた。

「先生に任せておけば大丈夫ですから。 さ、部屋に戻りましょう。」

「…っ…はい。」

俺が行っても邪魔にしかならない。

そう思い直して、おとなしく部屋に戻ることにした。

「黒澤様の手当てが終わったら、またご連絡します。」

「お願いします。」

看護師さんが出て行くと、静寂が部屋を包んだ。

「っ…臣…」

俺が…自分のことばかり考えてたから…

「俺はっ…」

臣をあそこまで追い詰めてたなんて…

「…ッ…最低だっ…」

恋人として…最低じゃないか。

「失礼します。」

「っ…先生…」

しばらく一人で頭を抱えていると、先生が部屋に入ってきた。

「臣は!? 臣は大丈夫なんですか!!?」

「落ち着いて下さい。 黒澤様は大丈夫ですから。」

先生は俺をなだめるように優しい声で、そう言ってくれた。

「臣が倒れた原因は?」

「過度の疲労と、睡眠不足です。 おそらく、あまり食事をとってないのだと思います。」

「……そうですか…」

全部…俺のせいだ。

「黒澤様にお会いになりますか?」

「会えるんですか?」

先生は頷くと、俺を車椅子に座らせてくれた。

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