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恋ばか

第33章 ~貴方だけを愛してます~


「……わかったよ。 行ってきます。」

「先輩!! 楽しみにしてて下さいね!!」

「ちょっと行ってくる。」

三人が部屋を出て行くと、一気に静かになった。

「静かだな。」

「ふふふ。 やっとゆっくりできるね。」

春架はそう言って笑うと、ベッドの横の椅子に腰を掛けた。

「お前も大変だな。」

「あぁ…」

空はあまりうるさいのが好きではないからか、今日初めて口をきいた。

「春架、お前…さっきああ言っておけば、あの二人が出て行くってわかってただろ。」

「もちろん。 まぁ、亮さんを派遣したのは、兄ちゃんの話をするためなんだけど。」

「留架の?」

なるほど。

亮がいては話ができない。

「うん。 この前兄ちゃんと電話してる時に、頼まれたことがあるんだ。」

「頼まれたこと?」

留架から頼まれごとなんて珍しい。

「ある人を探してほしいって。」

ある人?

「藤堂 望。 その人を探してほしいらしいんだ。」

「誰だそれ?」

そんな名前、聞いたことがない。

「わからない。 それは教えてくれなかった。」

「ふーん…」

一体誰なんだろう。

「わかってるのは、その人は病気で入院してるってこと。」

「入院ね…」

で、その人を探し出してどうするんだ?

「詳しいことはなにも教えてくれなかったんだけど、とにかく探してほしいって。」

「……わかった。 俺もいろいろ調べてみる。 なにかわかったら連絡するよ。」

「うん。 ありがとう。」

話がひと段落すると、空が鞄から何かを取り出した。

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