
恋ばか
第33章 ~貴方だけを愛してます~
「俺のファーストキスの相手って、境兄ちゃんだったよね?」
「「はぁ!!?」」
「お前…今それを言うなよ…」
余計めんどくさくなるだろ。
「どういうことだよ、境!!」
「境? 話を聞かせてくれるかな?」
「いや…」
っていうか、元はと言えば臣のせいなんだよな…
「境のファーストキスの相手は?」
「……臣…」
俺の相手は臣なのだが…
「春架君の相手は?」
「…俺。」
春架のファーストキスを奪ったのは俺なのだ。
「なんで親友の弟に手を出したんだ?」
「いや、手を出したっていうか…」
うぅ…空が怖い。
「正確に言うと、キスされたんだよ。」
「「え?」」
「えへへ。」
春架は面白そうに笑っている。
「っていうか、ほんとに…元はと言えば、臣が原因なんだって。」
「俺?」
意味が分からないのだろう。
臣が首を傾げた。
「一臣さんが境兄ちゃんにキスをして出て行ってしまった時…
境兄ちゃんがあまりにも落ち込んでたので、元気出してもらおうと思って俺からキスしたんです。」
「おかげで随分とびっくりさせていただきましたよ。」
ほんと、あの時はびっくりした。
「それに、俺の初恋の相手だったんでね。
記念にキスしておこうと思って。」
「初恋!!?」
「はい。」
キスされて、告白までされたからな。
「まぁ、小学生の時の話ですけどね。」
当たり前だ。
小学生じゃなかったら、冗談でも笑えない。
「なるほど。 それは俺のせいだな。」
「だろ?」
落ち込み過ぎた俺も俺だけど。
「それはわかったけど…なんで今キスしたの?」
「うーん…」
臣の質問に、春架は悪戯っぽく答えた。
