
恋ばか
第33章 ~貴方だけを愛してます~
「面白そうだったからです。」
「「………」」
「はぁ…」
この兄弟は…
「春架…お前…」
「ん?」
一体どこまで…
「留架にそっくり。」
「そう?」
似ているんだ。
「えへへ。」
「………」
でも…
「境兄ちゃん大好き!!」
「うわっ!!!」
こんな悪戯も許せるくらい、こいつが可愛い。
「あー!! いくら昔から一緒にいるからって、そんなにくっつくなよ!!」
「いいじゃんかー。」
あ、そうか。
真中と春架はタメ口なのか。
「いいから、離れろよ!!」
「やだよ~。」
あぁ…疲れる。
「はいはい、その辺にしておいてください。 五十嵐様は一応重症患者なんですからね。」
「先生…一応が余計です。」
先生は苦笑しながら、春架と真中を引っぺがした。
「あー…先生、なにするんですかー…」
「とりあえず静かにしてくださいね。 ここは病院ですから。」
確かに、少し…どころではないが、騒ぎ過ぎている気がする。
「はーい…」
大人しく先生の言うことを聞き、春架は空の隣に戻った。
「あ。」
「ん?」
突然、亮がなにか思い出したように立ち上がった。
「俺、そろそろ帰らないと。」
「あ…俺達も。」
それに便乗して、空も立ち上がった。
「え? 空さ…」
「行くぞ、春架。」
混乱している春架を、空は引っ張って帰ってしまった。
「ほら、真中君も帰ろう。」
「え!!? ちょ、せんぱ…」
真中を無理矢理立ち上がらせ、亮は部屋を出る直前に俺を振り返った。
「じゃあね、境。」
「あ、あぁ…」
部屋には、俺と臣と先生が残されてしまった。
