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恋ばか

第33章 ~貴方だけを愛してます~

「境…」

「臣…」

もう一度臣の顔が近づいてきた。

「あ!!」

「え?」

その時ちょうど、留架からの頼まれごとを思い出した。

「そういえば、臣に頼みたいことがあったんだ。」

「え、境…」

先ほど引き出しにしまった書類を取り出す。

「この書類の載ってる奴の周りに、藤堂 望っていう奴がいないか調べてほしいんだ。」

「いや、あの…」

臣に書類を渡しながら内容を説明していく。

「どっかの病院に入院してるらしいから、お前ならすぐに見つけられるだろ。」

「ちょ、待っ…」

なにか言おうとしている臣を無視して、話を続ける。

「俺は入院してて動けないから、代わりにやってくれるよな?」

「………」

最終的には、臣は黙り込んでしまった。

「臣?」

「…はぁ…」

沈黙の後に、臣は大きなため息をついた。

「わかりましたよ、境様。」

「なんで急に執事の顔になってんだよ。」

境様とか…久しぶりに聞いたぞ。

「まったく…雰囲気を考えないところが境らしいというか…」

「お前な…」

わざとに決まってんだろ。

「っ!!」

俺は臣のネクタイを引っ張ると、自ら臣の唇にキスをした。

「きょ、う…?」

「今はここまで。」

驚いている臣が面白い。

「えぇ~…」

「今お前に手を出されたら、俺の入院期間が延びるって。」

そんなこと冗談じゃない。

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