恋ばか
第35章 ~おまけ2~
「にゃ~…」
「ん?」
その後ろ姿を見届けていると、足元から猫の鳴き声が聞こえた。
「にゃ~…」
「どうしたの?」
足元を見ると、真っ黒な子猫が俺を見上げていた。
「お母さんとはぐれたのか?」
「にゃ~…」
足に体を摺り寄せてくる子猫を抱き上げる。
「にゃ~にゃ~…」
「お腹すいてるのか…?」
「にゃ~…」
俺の問いを肯定するように、子猫は俺の顔を舐めてきた。
「兄ちゃん、お待た…せ…?」
春架も含め、五人は俺の腕の中にいる子猫を見て固まった。
「留架……その猫、どうしたの?」
「今拾った。」
「にゃ~…」
五人の姿を見て、子猫が鳴いた。
「どうするの?」
「…飼う。」
「え!!?」
春架の質問に答えると、なぜか亮が驚いた。
「…とりあえず、中入ろうか?」
カズの言葉に、屋敷の中に足を踏み入れる。
「お帰りなさいませ。」
「三神!!!」
玄関では、三神が迎えてくれた。
「ただいまっ!!」
「お久しぶりですね、留架様。」
子猫を抱えたまま、三神の元に走る。
「って、なんでここにいるの?」
「春架様が呼んで下さいました。」
三神の言葉に春架を振り返ると、春架は得意気に笑っていた。