
恋ばか
第35章 ~おまけ2~
「その人は…治るの?」
「うん。 世界で一人…治せる人がいるって。」
いくらかかろうと構わない。
それで、鏡夜が笑ってくれるなら。
「留架は、その人を助けるつもりなんだね。
鏡夜さんのために。」
「……うん。」
さすが亮。
俺の考えなんてお見通しだ。
「そういえばさ…」
境がなにかを思い返したように、俺を見てきた。
「お前って、向こうでなにしてたの?」
「は?」
なにって…勉強?
「なんの勉強してきたわけ?
医者を目指してた鏡夜さんと同じ大学に通ってたってことは、医学大?」
「あぁ…そういうことね。」
なにを言い出したのかと思った。
「まぁ、そうだね…うん。
一応医学部に行ったけど…別に医者になる気はないかな。
なろうと思ってもなれないだろうし。」
俺は桜木財閥の長男。
将来は会社を継がされるに決まってる。
「向こうでは、会社の経営の仕方を勉強したんだ。
あと、資金の稼ぎ方とかね。」
鏡夜の恋人を助けるのに資金が必要なのは予想できてた。
家のお金を使うわけにはいかない。
なら、どうするか。
「藤堂望さんの手術費を稼ぐためにか。」
「うん。」
自分で稼げばいい。
「うちの家と仲の悪い会社があったから、調査がてらそこの社長さんにちょっとお願いしてね。
色々教えてもらったよ。」
将来邪魔になりそうな物は、潰していかないといけない。
「お前…留学した本当の目的はそれだろ。」
「へへへ。」
その通り。
あの日、お祖父様に渡された封筒には、大学の資料。 住む部屋。
そして…
