
恋ばか
第35章 ~おまけ2~
「なんだよ、いいとこだったのに。」
「申し訳ありません。」
「いや、謝らなくていいよ…助かったし…」
あのまま流されるところだった。
危ない危ない。
「今度やったら減給するからな。」
「亮…」
こんなことで減給なんて、三神が可哀想だろ。
「で、なにしに出てたの?」
「あ、はい。 会長から連絡がありまして。
留架様にこれをお渡ししろと。」
俺に?
三神が差し出したのは、シンプルな茶色い封筒。
これには、見覚えがある。
「…………」
お祖父様が、仕事の資料を渡す時に使う封筒。
「留架、それなに?」
「………たぶん、次の仕事の資料。」
今渡してくるってことは、すぐに読めってことだよな。
「…………」
中の書類に目を通す。
「ぇ…?」
書類には、想像もしてなかったことが書かれていた。
「兄ちゃん、なんだって?」
「…………」
もう一枚入っていた書類には、見覚えのある顔が。
「留架?」
「ふふふ。」
お祖父様は、俺の考えなんてお見通しのようだ。
「俺に、病院の経営を任せるって。」
「「ぇえ!?」」
なるほどね。
これなら、俺の好きなようにやれる。
「今から、鏡夜がここに来るみたい。 院長と一緒にね。」
新しい経営者に挨拶ってことか。
「なんで鏡夜さんも一緒に? 兄ちゃんに挨拶なら、院長だけでいいんじゃない?」
「理由はこれだね。」
お祖父様に渡された鏡夜についての書類をみんなに見せる。
「うわ…すごいね、この人。」
「ほんとだ。」
「でしょ? 医者になって、一ヶ月しか経ってないのが嘘みたいだよね。」
それには、鏡夜の学歴、この一ヶ月成功させた手術など、色々な情報が記されていた。
「つまり、未来の院長候補ってこと?」
「そういうこと。」
だから、一緒に挨拶に来るんだろう。
