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恋ばか

第5章 ~過去~

(あ、そうか…亮には話してないのか…)

「亮…」

「ん?」

亮の服をギュッと掴む。

「全部話すから…降ろして…」

「…わかった。」

亮はベッドに俺を降ろすと、自分は隣に座った。

「何から話していいかわからないんだけど…俺は今、親元を離れて一人暮らししてるんだ。」

「…なんで? 桜欄学院に通ってるぐらいだから、家はかなり金持ちなんだろう?」

「っ…それは…」

ギュッと自分の服を掴む。

…体が震え出す。

すると、亮が俺を優しく抱きしめてくれた。

…それだけで、体の震えがおさまっていった。

「俺は…境が言った通り、母さんを殺したんだ…っ…」

亮は黙って俺の話を聞いている。

「俺が小5の時…どうしても欲しい物があって…母さんに頼んで、早めにクリスマスプレゼントを買ってもらったんだ。
でも、母さんは…買い物の帰り道で…」

声が震えていくのがわかる。

声の震えを必死に抑えて、言葉を続ける。

「交通事故で死んだ…」

言い切った時、今までためていた涙が目から溢れ出す。

亮は黙って俺を抱きしめていてくれた。

しばらくして落ち着くと、俺は再び口を開いた。

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