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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「こちらは、以前頼まれていたものになります。」

「ご苦労様。」

「それから…」

藤堂望さんの書類を留架様に手渡した。

「藤堂望さんが、意識を取り戻したようです。」

「ほんと!?」

一か月前…手術をした藤堂望さんが、とうとう目を覚まされた。

「……ほんとだ…よかった…」

「リハビリも、順調のようです。」

何年も寝たままだったので、まずは歩くための筋肉をつけておられるそうだ。

「そっか…」

安心したような笑顔。

ようやく、留架様の肩の荷が下りたのだろう。

「よかったですね。」

「うん。」

一ヶ月前、藤堂望さんの手術をしてから、毎日あの方の心配をなさっていた。

「会いに行きたいな…」

あ、そうでした。

その件で、春架様から伝言を預かっていたのでした。

「留架様、その件なのですが…」

「ん?」

どうやら、留架様の連絡先がわからなくて、桜木本家に連絡されたようだ。

「元気な姿を見てもらいたいから、二人で尋ねるまで待ってほしい。

とのことです。」

「鏡夜が?」

正確に言うと、望さんからの伝言なんですが…

どちらでも同じでしょう。

「ふーん…なるほどね、わかった。

じゃあ、その日を楽しみに待つよ。」

「はい。」

さて…そろそろ、他の仕事に戻らないといけないな。

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