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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「え!?」

「もうご到着されます。 ですから…」

小内君の言葉は、最後まで続かなかった。

「三神という奴はどこにいるっ!!!!」

低い声の罵声が屋敷に響いた。

かなりご立腹のようだ。

「お待ち下さいっ!! 只今、呼び出しておりますので…」

「言い訳など聞きたくない!! さっさと三神を出せっ!!!!」

「申し訳ありません、お待たせしまし…」

「!!」

玄関ホールに飛び込むと、一人の男性を使用人が必死に抑えているのが見えた。

少し後ろに、可愛らしい女性が戸惑い気味にキョロキョロしていた。

「ロ…バート…?」

「!? 晃一か!?」

使用人が取り囲んでいる男性に、見覚えがあった。

どうして、彼がここに…

「「何故、ここに…」」

二人の間の時間が止まる中、留架様と春架様がすごい勢いで帰って来られた。

「叔父さん!!」

叔父さん…?

じゃあ、小内君が言っていた、ニック様の父上というのは…

「あ……れ? 叔父さん、三神と知り合いなの?」

「三神…?」

ロバートのことなのか?

「晃一…お前が三神なのか?」

「えぇ…」

…そうだ。

そういえば、ニック様の父上の名前はロバートだったな。

まさか、自分が知っている人だとは思わなかった。

「三神…叔父さんを知ってるの?」

「………はい。」

じゃあ、後ろに立っていらっしゃるのは、ジェシカ様…か?

「晃一…何故、君がここに…」

「……私は、留架様にお仕えしている執事です。」

「留架君に?」

以前会った時は、下の名前以外一切教えなかったしな。

それは私も同じ。

彼の名前以外、何も知らなかった。

「…とりあえず、応接間に移動しませんか?

こんな所じゃ、まともに話もできないし…」

「…そうだな。 そうしよう。」

留架様の言葉に、その場にいた者が移動を始める。

まさかの事態だ。

こんなことになるなんて…

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