恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「車の中で事情を聞いた。
その時は、相手の名前を出してくれなかったけど…リチャードのことだったんだね。
私は、晃一が可哀相になった。
人生初めての経験を、そんな形で終わらせてしまったんだからね。
だから…晃一をホテルに誘ったんだ。」
彼の言葉に誘われるまま…私は、彼について行った。
リチャード様にされたことを…少しでも忘れたかった。
「それで…三神、行ったの?」
「……はい。 この方と一夜を共にし、明朝になにも告げずに帰りました。」
ロバートは宣言通り、とても優しく私を抱いてくれた。
リチャード様との行為を、少しでも忘れられるように。
「たった一晩しか共にしなかったが…私はすっかり彼に魅入られてしまってね。
朝、彼がいないことに酷く困惑したよ。
そして、慌てて彼を捜した。
私が出来うる限りの手を尽くしてね。
しかし、彼は見つからなかった。
当然だ。 名前しか知らなかったし、彼は日本に戻っていたんだから。」
「…………」
そうだったのか。
ロバートは、私のことを…
「まぁ…また再会できてよかった。 こんな形ではあるがね。」
「……申し訳ございませんでした。 あなたを、利用する形になってしまって…」
あの夜のことは、私の中では終わっている。
彼とは、一夜限りの関係だ。
それ以上もそれ以下もない。
「しかし…まさか、ニックを魅了したのが君だったとは…」
「…………」
結局、私はこの血族に弱い。
親子三人と関係を持ったことがあるなんて…
「参ったな…」
「……話は済んだか?」
ロバートが困ったようにため息をついた後、ニック様が口を開いた。
怒っておられるのか、大変声が低い。
「随分と到着が早かったな。 おかげで、セックスが途中で終わっただろ。 この借りは返してもらうからな。」
「ニック様っ!!///」
なんていうことを皆さんの前で…
さらっと言わないで下さい。