恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「ふざけるな。 晃一が相手となれば…私も黙っているわけにはいかん。」
「ふん。 とりあえず…例の話だけど…」
ニック様はそう言われて、鞄からパソコンを取り出された。
「言われた通り、与えられた資金を倍にした。」
「………」
? 何の話だ?
「俺は自分の力で会社を支えられる。 だから…」
「!?」
ニック様に腕を引かれ、逃げられないように頭を固定された。
「んっ!!?」
え…!?
「ニック様、なにをっ…」
「付き合う人間は、自分の好きにさせてもらう。」
「………」
そんなニック様を見て、ロバート…様は、またため息をつかれた。
「いいだろう。 約束通り、ジェシカとの婚約は解消してやる。
ただし…」
「!?」
今度は、向かい側に座っているロバート様に腕を引かれた。
「誰と付き合うかは、晃一が決めることだろう?」
「なっ…」
「チッ…」
これは…どういう状況だろうか。
え?
「晃一に触るな。 こいつは俺のだ。」
「おいおい。 親に向かってその態度はなんだ?」
「あーあ…」
「また始まるよ…」
? 留架様と春架様が、ため息をつかれた。
始まる…? 一体なにが…
「親もクソもあるか。 恋人に手を出されて黙ってる奴が、どこの世界にいるんだよ?」
「恋人? 一体誰のことだ?」
あぁ…これのことか。
お二人とも、私のことなど忘れて喧嘩を始められてしまった。
「殴られたいのか?」
「親を殴るのか? 随分と親不孝者だな?」
「!?」
そちらに気を取られていると、後ろから誰かに抱きつかれた。
驚いて振り返ると、得意気に笑うリチャード様が。