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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「リチャ…」

「しー。 あの二人が喧嘩してる間にさ、デートしに行こうぜ。」

「ぇ…」

冗談ですよね?

「なにしに行くって?」

「ニ、ニック様…」

こ、怖い…ニック様の雰囲気が、いつも以上に黒い…

「おいこらクソ兄貴。 人のもんに手出してんじゃねぇぞ?」

「いや~、好きな人には、全力でアタックしようと思って。」

「「!!?」」

リチャード様の言葉に、部屋にいた全員が驚いた。

それはそうだろう。

今まで留架様が好きだと言いふらしていた方が、今度は執事が好きだと言い出したのだから。

「兄ちゃんが好きだったんじゃないんですか?」

「ん~…気づいたら、三神を好きになってたよ!!」

そんな…力強く言われなくても…

「というわけで、これからは遠慮なくアタックしていくから。」

「「!?」」

「てめっ…」

今…頬に柔らかいものが…

「なにしてんだよっ!!」

「なにって…キス? いいだろ? ほっぺにキスくら…」

部屋に、鈍い音が響いた。

ニック様が、リチャード様を殴られたのだ。

「い゛…ッ…」

「今すぐ地獄に送ってやろうか?」

「………」

ん? そういえば、どうしてリチャード様はニック様の好きな人がジェシカ様だと思っていたのだろうか。

「ちょっとは加減しろよ!! 大体…ニックは、ジェシカが好きだっただろ!?」

「…は?」

「「え?」」

これには、皆さん驚かれたようだ。

部屋が静まり返った。

「え? なに? 違うの?」

「………お前な…お前の発言のせいで、どんだけ迷惑被ったと…」

ニック様は、あのことを勘違いだと言っていたが…

なにを勘違いしているのだろう?

「なんだそうだったのか。 恥ずかしがらずにそう言えばいいものを。

ジェシカとの婚約を解消する必要はないじゃないか。

晃一のことは安心しろ。 私が幸せにしてやる。」

「ふざけんな。 勘違いだって言ってるだろ。」

「あ、あの…」

私を挟んで、親子三人で喧嘩しないでほしいんですが…

「勘違い?」

「…ジェシカ…俺から言ってもいいか?」

「………」

ニック様の問いに、ジェシカ様はうつむいたまま頷かれた。

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