テキストサイズ

恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「その…これ、ラブレターみたいで…」

「………そのようですね。」

封を止めているのは、ハートを型どったシール。

「差出人は…書いてありませんね。」

一応、読むだけ読んでおくか。

読まずに捨ててしまうのも失礼だろうし。

「………」

『三神さんへ
この前は助けていただき、ありがとうございました。

こんなこと言うと、変な奴だと思われるかもしれませんが…僕、あなたを好きになってしまいました。

男の方を好きになったのは初めてで、どうしたらいいのかわからず…こんな形で想いを伝えさせていただきました。

ご迷惑おかけして、申し訳ありません。

頭の片隅にでも、僕の気持ちを置いておいていただけたら嬉しいです。』

助けて…?

「………」

「誰からでしたか?」

ここ最近、誰かを助けた覚えはないが…

「書いてありませんね。」

「そう…ですか。」

どうして私の名前まで知っているのだろう。

屋敷にいる人間か?

「あの…差出人不明で、しかもここの住所も書いていないということは…

もしかしたら、差出人って…」

「……配達人…ですか。」

今のところ、その可能性が一番高い。

でも、助けたことなんて…

「手紙…なんて書いてありましたか?」

「私に助けられて、好きになってしまったと。」

「助けられて?」

全く記憶にない。

最近は外に出ることも少なかったし…

「………もしかして、あの時のことじゃないですか?」

「あの時?」

小内君には、思い当たる節があるらしい。

「三神さんは、どこか上の空でしたから覚えていないかもしれませんが…

一週間程前…」

小内君の話によると…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ