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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

一週間程前、今日書類を届けてくれた男性が、敷地の中で迷ってしまったんだとか。

書類などの配達物は、裏の出入口に届けてもらうのだが…

道が少々ややこしい。

で、その男性は迷って、中庭に入り込んでしまったそうだ。

そこをカイン君に発見され、不審者と間違えられて襲われそうになったところを、私に助けてもらったんだとか。

「……そんなこと…ありましたっけ?」

「やっぱり覚えておられないですね。 あったんですよ。」

一切記憶にない。

リチャード様に身体を弄ばれて、それどころじゃなかったからな…

「今日配達してくれた方も、その人でしたし…」

「……そうですか。」

うーん…どうしたものか。

「明日も書類が配達される予定なので、その時にお断りしたらどうですか?」

「そうしますか。」

「なにが?」

「「!!」」

驚いて振り返ると、楽しそうに笑う留架様が。

いつからそこに…

「留…架様…」

「なんの話してたの?」

「いえ…別に…」

留架様に知られてしまうのは問題ない。

問題なのは…

「それ、ラブレターだよね?」

「………はい。」

ニック様に知られてしまうかもしれないことだ。

「誰から?」

「書類を配達してくれる方です。」

幸い、喧嘩に夢中でこちらに気づいていない。

「へぇ…意外かも。」

「意外…ですか?」

一体、なにが意外なんだろう。

「うん。 三神ってさ、どちらかと言うと、俺と同じ匂いがするんだよね。」

留架様と同じ匂い…?

それって、つまり…

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