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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「三神さん、こちらの方が…」

「「!!」」

「あなたは…」

使用人と一緒に部屋に入ってきたのは、可愛い顔をした男性。

「書類を配達してくれている…」

「どうしてここに?」

その男性は、私の顔を見ると勢いよく頭を下げた。

「す、すみませんっ!!」

「!?」

いや、急に謝られても…

一体どうしたというのだろうか。

「あのっ…先程配達するはずだった封筒を、渡し忘れてしまって…」

そう言うと、申し訳なさそうに茶色い封筒を私に差し出してきた。

「その…本当に、申し訳ありません!!」

そういうことか。

「大丈夫ですよ。 急ぎの仕事ではありませんから。」

「で、でも…」

今にも泣きそうな彼を見たら、なんだか可愛く思えてきた。

「次から気をつければいいんですよ。」

「っ…///」

頭を撫でながらそう言えば、彼は顔を真っ赤にして俯いてしまった。

「………はい。」

そして、小さな声で聞こえた返事。

「三神ってさ、お兄ちゃんみたい。」

「だな。」

「うん。」

お兄ちゃん…?

「三神さん…大切な方ができたんですね?」

「え?」

留架様達の方に気を取られていたら、彼はいつの間にか笑っていた。

「以前お会いした時は、どこか上の空で…暗い表情をされていたのに、今はとても幸せそうですよ?」

「……………」

この人…案外鋭いな。

「大切な方ができたんですよね?」

「………えぇ。」

皆さんの前で話すのは少し恥ずかしいな。

「とても大切な方ができました。 一生お側にお仕えしたいと思える方が。」

「…そうですか。 よかったです。」

私の言葉を聞いて、彼はとても綺麗に笑った。

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