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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「留架様、用事が出来たので、少し出てきます。」

「ふーん…わかった。」

私のこの発言、結構怪しいですよね。

「小内君、申し訳ないのですが、ついて来ていただいてもよろしいですか?」

「あ、はい。 わかりました。」

なにかあった時のために、小内君について来てもらおう。

その方が、いろいろ対処しやすいだろうし。

「では、失礼します。」

「いってらっしゃい。」

頭を下げ、部屋から出た。

ふぅ…仕事しますか。

「今日は特になにもないと思っていましたが…やっぱり、そうもいかないようですね。」

「そうですね。 まぁ…静香様の頼みですから。」

「なにか問題でも?」

私は、先ほどの電話の内容を小内君に話した。

「なるほど。 それは一大事ですね。」

「えぇ。 今後の仕事に非常に影響を及ぼしますからね。

無視するわけにもいきません。」

これが上手く行くか行かないかで、留架様の仕事に支障をきたすか決まる。

上手く行けば、相当な利益が見込める仕事だ。

「Tホテルまで。」

「はい。」

運転手に行き先を告げ、小内君と車に乗り込んだ。

「そういえば…もしかしたら、皆さんに誤解されているかもしれませんよ。」

「誤解?」

途中の車の中。

不意に、小内君がそんなことを言ってきた。

「はい。 静香様のこと…皆さんはご存知ありませんから。」

「…そうですね。」

留架様ですら、あの方のことを知らないだろう。

しかし、彼女の存在はとても重要なものだ。

「ニック様の機嫌が悪くなられたようですし…申し訳ありません。

僕が不用意に静香様の名前を言ってしまったせいですね。」

「そんなことはありませんよ。 今夜、この仕事がうまくいったら、皆さんにお話ししましょう。」

いずれは、留架様や春架様に紹介しなければならない人物だ。

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