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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「はい。」

「…そろそろ着きますね。」

屋敷からホテルまではそんなに遠くないため、すぐに着いてしまった。

「ここで待っていて下さい。 すぐ戻りますから。」

「わかりました。」

運転手にそう指示を出し、小内君とホテルに足を踏み入れた。

「…静香様はどこに…」

「レストランでしょうかね。」

ロビーに、静香様の姿は見えない。

おそらく…レストランの方に行かれているのだろう。

「行ってみましょう。」

「はい。」

レストランの入り口をくぐると、ウエイターに止められた。

「本日はご予約で?」

「いえ…ちょっと、人を捜し…」

「三神!!」

ウエイターの質問に答えようとしたら、それよりも先に名前を呼ばれた。

「静香様。」

「やっと来てくれた!!」

息を切らせながら、こちらに走ってきた可愛らしい容姿をしたこの方が、静香様。

「小内さんも、久しぶり。」

「お久しぶりです。」

…で、半泣き状態の静香様。

実は今日、このレストランである方とお食事をする予定なのだ。

しかし…

「私…どうすればいいの…?」

「落ち着いて下さい。 大丈夫ですから。」

緊張のあまり、パニックに陥ってしまったらしい。

まぁ…今日お会いする相手は、静香様がずっと憧れていた方だからな。

「だって…今から、北条様がお見えになられるのよ?

いつものようにヘマして…嫌われたりしたら…それ以前に、私みたいに美人じゃない人間、北条様が気に入って下さるわけ…」

「大丈夫ですよ。」

静香様が少しでも安心できるよう、私はそう言った。

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