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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「失礼します。 お待たせして申し訳ありません。」

既に客間に移動していた北条様。

小内君が案内しておいてくれたのだろう。

「私は、三神晃一という者です。 この屋敷の執事長をしています。 彼は、小内湊。 私の補佐をしてくれている者です。」

「よろしくお願いします。」

あぁ…北条様の左頬が、赤くなっている。

静香様にビンタされたからか。

「私は、北条征二です。 本日お伺いしたのは、他でもない。 清水静香さんのことについてです。」

「えぇ。 お話は伺っております。 それで…連絡先を教えてほしいとか。」

やはり、慰謝料でも請求するのか?

そんな人だとは思っていなかったが…

「理由を教えていただけますか? さすがに、それを聞かずにお教えするというのは…」

「実は…その…」

気まずそうに口を開いた北条様。

その口からは、想像もしていなかった言葉が出てきた。

「恥ずかしながら…彼女のことが、好きになってしまったみたいで…」

「「…………え!?」」

静香様のことを、好きに…?

「大変失礼ながら、私は彼女を侮辱してしまったんです。

今までの女性なら…皆さん、泣きながら部屋を飛び出して行かれるくらいだったのですが…彼女だけは、私に対して本気で怒ってくれまして。

そんな女性は、初めてで…」

なるほど。

どうやら、北条様に静香様を紹介したことは、正解だったらしい。

さすがは小内君。

偶然にしても、これはすごい。

「もう一度…彼女にお会いしたいのです。
お願いします。」

「北条様…」

私達に頭を深く下げる北条様。

静香様のこと…本気なのか。

「………小内君。」

「…わかりました。」

いちいち指示を出さなくても、小内君は私の言いたいことをわかってくれるから頼りになる。

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