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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「……!!」

部屋に入って気づいたこと。

「…………」

ニック様と亮様の機嫌がものすごく悪い。

「うぅ…」

「大丈夫ですよ、留架様。」

留架様をソファーに座らせようとしたのだが、留架様が私から離れて下さらない。

まったく…私の大切な主人をこんな目に遭わせるなんて…

「………境様…」

「俺のせいかよ!?」

元凶はあなたです。

というか、留架様は本格的に泣いていらっしゃる。

……そんなに苛められたのか。

「留架様、これを差し上げますから、元気を出して下さい。」

「…っ…?」

留架様と少し体を離し、携帯を入れているのと反対側の胸ポケットからある物を取り出した。

「!! これ…」

「覚えていらっしゃいますか?」

私が取り出したのは、イチゴ味の飴。

昔…こんな風に留架様が泣かれた時、同じようにこの飴を差し上げていた。

「うわ~!! 懐かしい!!」

「ふふふ。 今でも持ち歩いているんですよ。」

袋を開けて、留架様に差し出した。

「どうぞ。」

「食べさせて!! 食べさせて!!」

こんなところも変わっておられないな。

口を大きく「あーん」と開けて、飴を待つ留架様。

「ふふふ。 はい、どうぞ。」

ほんと、我が主ながら可愛らしい。

「へへ。 美味しい!!」

よかった。

いつもの笑顔だ。


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