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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「さぁ、先程の場所にお座り下さい。」

「三神も一緒に座ろうよ。」

「え?」

留架様はそう言って、私の手を引いて先にソファーに座らせた後、ご自分は私の膝の上に乗って来られた。

「留、留架様…あの…」

「えへへ。」

いや、えへへ。じゃなくてですね…

隣にいらっしゃる亮様が怖すぎるのですが…

ついでに、ニック様も機嫌がかなり悪いようです。

「留架君…そんなに晃一にくっつかないでくれ。 私のなんだから。」

「あんた、仕事のし過ぎで頭おかしくなったんじゃないか?」

あぁ…またニック様とロバート様が喧嘩を始められてしまった。

「ダメですよー。 三神は俺のなんですから。」

留架様ー…煽らないで下さい…

「ね?」

「…………はい。」

有無を言わさぬ笑顔が怖い…

「ほぉ? お前、自分の立場がわかってないらしいな。」

「…っ…も、申し訳ありません…」

ニック様の笑顔も、相当怖いが。

黒いオーラが見える気がする。

「失礼します。 三神…」

夕食の準備が終わったのだろう。

部屋に入ってきた小内君は、私が膝の上に留架様を乗せているのを見て固まってしまった。

「さん…」

まあ、当然の反応だよな。

主人を膝に乗せるなんて、ありえない。

ましてや、成人している主人を。

「え…っと…」

「…話せば長いです…」

後でどう説明すればいいのだろうか。

というか、この状況から早く脱しなければ。

「準備は終わりましたか?」

「あ、はい。」

これを口実に、この場から抜け出すか。

「留架様、夕食の用意ができました。」

「了解。 行こうか。」

「はい。」

助かった…

「よっと。」

留架様が膝から降りられたのを確認し、私も立ち上がった。

「俺にこんなにやきもち妬かせるなんて、いい度胸してるな?

今夜、覚悟しておけよ?」

「っ……」

背筋が凍ったのは、言うまでもない。

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