恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「おはよー、三神。」
「…おはようございます、留架様。」
で、翌日。
薬指につけられた傷は、手袋をはめてしまうから見えなくていいのだが…
「大丈夫?」
「……はい…なんとか。」
腰があり得ないくらいダルい。
歩けているのが奇跡だ。
「ははは!! 昨夜、そんなに頑張られたの?」
「え…っと………はい…」
昨夜…というか、今朝まで。
一時間しか寝ていない。
「今日は休んでれば?」
「いえ…大丈夫です。 仕事はきちんとやりますから。」
このくらいで休んでいたら、この先が思いやられる。
「そう? 無理しないでね。」
「はい。」
留架様だけではないが…春架様も境様も、よくあんなハードなことをなさっているな…
顔には出さないし。
「…………」
やっぱり、若さ故…なのか?
「あ、そうだ。 今日ね、春架と境達が来るから…」
「わかりました。」
大方、私のこの状況を面白がりにいらっしゃるのだろう。
あ、そういえば…
「留架様、昨夜仰られていた温泉旅行の件なのですが…
旅館を予約しておきましたので、春架様と境様のご都合を…」
「ほんと!? やったね!!」
ふふふ。 子供みたいに目を輝かせている留架様。
可愛いな。
「もちろん、三神も行くでしょ?」
「え?」
私も…?
「いえ…私の分は予約していませんが…」
「なんで!?」
なんでと言われましても…
「たまには、仕事のことを全て忘れて、楽しんでいただけたらと…」
「俺が行く所には、どこでも付いて来るでしょ?」
一応気を利かせて、私の分は予約しないでおいたのだが…
「私はあくまでも執事であって…留架様の秘書ではないので、どこにでもついて行くというのは…」
屋敷の者に、なんと説明すればいいのか…