恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「あ、畔田さんも連れて来なよ。」
「ええ!!?」
タイミングが妙に合っているというか…
「ね?」
「「…………」」
有無を言わせない笑顔。
「「……はい。 承知しました。」」
「へへへ。」
この人には一生敵わない気がする。
「楽しみですね、空さん!!」
「あぁ。」
「温泉か…何年振りだろうな?」
「さぁ…でも、境の浴衣が見れるのは嬉しいな。」
はぁ…皆さん、今から楽しみにされているようでなりよりです。
「あー…そうだ。 もう一つ大事な話があったんだ。」
「なんですか?」
まだ何かあるのだろうか。
「ここに三神を住まわせてもらってるのは、執事長をやってもらってるからでしょ?
俺の秘書になったらそんなの関係なくなるし、小原邸に居座るっていうのも居心地悪くなるよね?」
「…確かに…そうですね…」
そうか。
あまり気にしたことがなかったが、私がここにいれるのは小原邸の執事長をやっているからであって…
留架様にお給料をいただいていたから、そんなこと気付かなかった。
「で、考えたんだけど…俺と一緒に桜木家に戻る?」
「「!!?」」
「!? なんで留架まで…」
私も含め、部屋にいる全員が驚いて言葉を失った。
まぁ…一番驚いているのは亮様だろうが。
「この生活を続けたいとは思ってる。 亮とずっと一緒にいられるしね。
でも…元はと言えば、俺の我が儘でここにいさせてもらってるんだし…
それに、俺がここに住ませてもらった一番の理由は、父さんとお祖父様との問題があったからでしょ?
今はそれもない。 第一、俺は何もしてないのにここにいさせてもらってる。
亮やこの家の使用人にも迷惑かけてるし、この家にとって得になることはなにもない。
いい加減、大人にならないといけないと思うんだ。」
一応、亮様の世話係という形でこの屋敷に住んでいらっしゃるが…
留架様は、それでは納得できないのだろう。