恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「さすがだね。 このネタ、使えるんじゃない?」
「…いけるかもな。 しかも、父さんの想い人との子供だろ?
父さんも、反対はしないと思う。」
しかし…
いいのだろうか。
妹様は、自分が五十嵐財閥の長女だとは知らず、平凡な人生を幸せに生きていらっしゃる。
改めて五十嵐の家に入ることになれば、今までの生活は180度変わることになるわけで…
きっと、この世界に押しつぶされてしまうだろう。
やはり、言わない方がよかったか…
「でも、ネタにするだけにしておかないと。」
「わかってるよ。 その、俺の妹…とかいう人の人生を狂わせるわけにはいかないからな。」
「!!」
………はは。
さすがだな。 ちゃんと、相手のことを考えていらっしゃる。
この世界に生きている人で、こんな方々はなかなかいない。
「でも、跡継ぎどうするの?」
「ん~…」
だからこそ、この方々が好きなのだろうな…
「あ、そういえば…うちの病院で、体外受精できるよ?」
「だから、その相手がいないんだろ。」
体外受精か…
確かに、それなら好きでもない女性と子作りをする必要はないか。
「あ~…そっか。 根本が解決してないのか…」
「やっぱり、養子取るかな…」
「………」
男同士というのは、やはり…なにかと障害が生まれてくるな。
ニック様も…
私なんかとお付き合いしていていいのだろうか。
会社は長男のリチャード様が継ぐとはいえ、ニック様は右腕になられる存在。
それは、その子供にも受け継がれることであって…