恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「叔父さん、昨夜アメリカに戻ったんじゃないんですか?」
「ん? あぁ…私がいなくなったら、ニックが晃一に手を出すだろう? だから、私もこっちに残ることにしたんだよ。
仕事の方は、こちらから指事を出せば問題ないからな。」
「「あぁ…そうですか…」」
社長が不在で、本社の方は大丈夫なのだろうか。
こちらから支持を出すと言っても、限度があるだろう。
「晃一。 私が来たからには、もう安心しなさい。 ニックから守ってやるからな。」
「は、はぁ…」
いや…守ってやると言われましても…
「なにが守ってやるだよ。 ただのお邪魔虫だろうが。
さっさと向こう帰れよ。」
「お前が晃一から手を引くなら、安心して向こうに戻れるんだがな。」
なんか、もう…
「諦めの悪さに関しては、やっぱり親子だね。」
「っていうか、叔父さん帰らなくて平気なのかな?」
「さあ?」
どうすればいいのか、本当にわからない。
結局、私の存在なんて忘れて喧嘩していらっしゃるし…
「とりあえず、しばらくはうるさくなりそうだね。」
「うーん……あのさ…もしかして、叔父さんも温泉旅行について来るかな?」
「あー…それは面倒だな。 三神。」
「あ、はい。」
なんてことを考えながらお二人を見ていたら、留架様に呼ばれた。
「それと湊さんも。」
「はい。 なにか?」
留架様が手招きするので、小内君と一緒に、留架様の前にしゃがみこんだ。
「リチャードと叔父さんが温泉旅行に来られないようにさ、どうにかして仕事入れられないかな?」
「仕事…ですか?」
「リチャード様もですか?」
それは意外なご指示だ。
留架様のことだから、みなさんで行こうと仰ると思っていたのに…