
恋ばか
第39章 番外編~温泉旅行~
「「いただきまーす!!」」
「「いただきます。」」
ん。 美味しい。
「美味しいね!!」
「うん!!」
…というか、普段食べないような豪華な食事だな。
後で腹痛とか起こさないといいのだが。
「み、三神さん…」
「? どうしました?」
なんてことを考えながら箸を進めていると、隣に座っていた小内君が不安そうな声で話しかけてきた。
「あの…こんな高そうな食事、一銭も出さずに食べるのはちょっと…申し訳ないんですけど…」
「ふふ。 私も同感です。」
桜木の家に仕えていると言って、豪華な食事をしているわけではない。
自分で作ることもあるので、普通の家庭料理を食べることの方が多い。
「小内君は普段とても仕事を頑張っているので、そのご褒美だと思えばいいんですよ。
留架様のご好意を無駄にするようなことはできませんしね。」
「あ…はい。 そうですね。」
私の言葉を聞いた小内君は、少し遠慮気味に箸を進め始めた。
「さすがは三神が選んだ旅館だね。 温泉気持ちよかったし、料理美味しいし。」
「お気に召されたようで、なりよりです。」
…という具合で、夕食を終えたのだが…
問題はここからだった。
「あ、そうだ。 俺さ、いい物持ってきたんだ。」
「なに?」
夕食を食べ終え、留架様や春架様とカードで遊んでいた境様が、思い出したように鞄をあさり始めた。
「これ。」
「「!!」」
で、境様が取り出したのは…
「それ、俺が飲みたいって言ってたやつ!?」
「そう。」
日本酒だった。
