恋ばか
第42章 番外編~永遠の愛を~
「兄ちゃん、兄ちゃん。」
「ん?」
少し距離をとったところからその様子を見ていたら、春架に肩を叩かれた。
「あの人、小原一族の末端の会社で社長やってるんだって。 亮さんのかなり遠い親戚らしくて、実力もないのに、それだけを理由に社長やってるらしいよ。」
「へぇ…そうなんだ。」
そのわりには、随分と態度が大きいな。
ここに呼ばれたのだって、親戚だから。ただそれだけの理由だろうに。
「無礼なっ!! 私を誰だと思っているんだ!!」
あらあら。 ヒートアップしてきちゃった。
周りの注目を集めていることにも気づかないのか。 みっともない。
「わかった。 ありがとうね。」
「うん!!」
春架にお礼を言ってから、今にも三神に掴みかかろうとしている社長の前に入り込んだ。
「すみません。 私の秘書に何か?」
「なっ…なんだ貴様は!!」
俺の顔も知らないのか。 それでも、小原財閥の末端の会社の社長か?
「若造のくせに…出しゃばるな!!」
俺を突き飛ばそうとした社長の腕を掴んだ三神。
この社長…三神に助けられたな。
「あなたこそ、出しゃばらない方がよいのではないですか? 一体、この方をどなたと思ってそんな無礼な態度をとっているんです?」
「さあ? あいにく、こんな若造の顔を覚える暇もないくらい、私は忙しいのでね。」
「………そうですか。 それでは、軽く自己紹介を。」
もし、俺を突き飛ばしていたら…この人、ただでは済まなかっただろうな…後で、三神に感謝するといいよ。
「私、こういう者です。」
「………桜木…留架…?」
名刺を見た社長の顔が、みるみる青くなっていく。
俺の名前は知っていたようだ。