恋ばか
第42章 番外編~永遠の愛を~
「あなたが若造呼ばわりしているこの方は、桜木財閥のご長男である、桜木留架様です。」
「…ぁっ……ッ…」
ようやく事態を把握したのか、社長は顔を真っ青にし、口をパクパクさせている。
言葉も出てこない様子。
「も、申し訳ありません!!」
が、次の瞬間には、俺に向かって深く頭を下げてきた。
「桜木様とは知らず、大変な失礼をっ…お、お許し下さい!!」
さっきまでの威勢はどこに行ったんだか。 ま、いいけどね。 顔を知られていなかったのは、俺がまだまだ未熟な証。 このくらいの社長さんにも顔を知られるくらい頑張らないと。
「ど、どうか、このことはご内密に…」
「それは無理ですね。」
「ぇっ…」
別に、俺はいいんだけどさ。 こんな人の多いところでちょっとした騒ぎ起こしちゃったら、内密に…というのは不可能でしょ。
「これだけ周囲の注目を集めてしまっては、それは不可能なお話ですよ。」
「っ…!!」
そもそもね…人の…それも、自分の一族のトップに立つであろう人間のパーティーで、男を部屋に誘うのが悪いんだよ。
「それでは、失礼します。」
まあ、この人には何らかの処分が下るだろう。
この世の終わりみたいな表情を浮かべる社長を放置して、三神と湊さんを連れてみんなのところに戻った。
「お疲れ~。」
「うん。」
戻ると、境がシャンパンを渡してくれた。
ちなみに、空と春架はどこかのご令嬢に捕まっている。
「留架様、ご迷惑おかけしてしまって申し訳ありませんでした。」
大変そうだなぁ…なんて、呑気に考えていたら、助けた湊さんが頭を下げてきたわけで…
「気にしないで。 それより、大丈夫?」
「あ、はい。 少し体を触られたくらいなので、大丈夫です。」
「そう。 よかった。」
後ろにいる畔田さんは、ものすごく機嫌悪いけどね。 今夜、湊さんは大変だろうな。