恋ばか
第42章 番外編~永遠の愛を~
「あの、桜木様…」
「はい?」
あーあ…俺のところにもご令嬢が何人か来ちゃったよ…相手するのめんど……いやいや、これも仕事だと思うか。
「少し…お話しさせていただいてもよろしいですか?」
「もちろんですよ。」
なんて、ご令嬢方と話し始めたのはいいんだけど…
時間を追うごとに、人数が増えていく…
最初はほんの数人だったのに、今じゃ十数人いる。 質問攻めにあって大変。
「すみません。 ちょっと、お手洗いに…」
そう言って逃げ出せたのは、一時間後くらい。
さすがに、疲れた…
「はぁ…」
洗面所の前に立ち、大きなため息をつく。
これだから、パーティーは嫌い。 寄ってくるのは、媚を売る人間か、金目当ての人間ばかり。
「……亮…」
せっかく、三週間振りくらいに会ったのにな。 ほとんど話せてないし、プレゼントも渡せてないし…
亮に馴れ馴れしく腕を組んでるご令嬢が嫌でも目に入るし、ほんと……最悪。
「………留架…」
「!? りょ…」
優しい声で名前を呼ばれたかと思ったら、後ろから抱きしめられた。
驚いて名前を呼ぼうと思ったら、亮に口を塞がれてしまって…
「しー…静かに。 大きい声出すと、誰か来ちゃうかもしれないし、外で待ってるご令嬢に聞こえちゃうから…ね?」
亮の言葉に頷き、口を塞いでいる手を退けてもらう。
解放された瞬間、亮を振り返り、強く抱きついた。
「亮……」
「ん…留架…会いたかった。」
久しぶりの亮の匂い…声、体温…落ち着く。
少し体を離し、どちらからともなく唇を重ねた。
「んっ…」
唇を重ねるだけの、短いキス。
ほんとはもっとしたかったけど、ここトイレだし…こんなところで欲情しちゃったら大変だし…