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「境…様…？」

「……よ…」

「…え？」

境は下を向いたまま、顔を上げようとしない。

「待てよ…まだ、俺の質問に答えてない。　なんで、黙って出て行った？」

「あなたに会ったら、今度こそ自分の気持ちを抑えられなくなると思ったからです。
それに、あんな事をした私にあなたは会いたくないかと…あなたは私の事を嫌いになっただろうと思うと、会いに行くのが怖かっ…」

しかし、黒澤さんの言葉を最後まで聞かず、突然境が怒り出した。

「ふざけんなっ!! なにが怖いだよ!! 俺の気持ちも知らずに!!」

…かと思えば、感情が爆発してしまったのか、急に泣き出した。

「お前知らないだろ…俺がどんなにお前が好きだったか…ッ」

「…境様…」

黒澤さんはそっと境の頬に触れた。

「泣かないで下さい…」

「…ッ…泣きたくなくても…止まんねえんだよっ…」

境の言葉に、黒澤さんは本当に嬉しそうに微笑むと、境にゆっくりキスをした。